緑の風と小さな光 第1部
「これを役人に見せるのが1番いいな。」

どうやって見せるか…?

ふとレビンの外出用の上着に目が止まった。セレでも着た事の無い様な豪奢な仕立てだ。

そのポケットから麻縄がはみ出している。

エルグがセレに使った物と同じ類《たぐい》の、魔法でも外れない縄だ。

明日、ノーラに掛けるつもりなのだろう。

「…いい事を思いついた。」

セレのいたずら癖がうずき出した。




夕方。


セレは診療所に戻った。

「どうだった?」

みんなが期待と不安のこもった声できいた。

セレは見て来た事を話した。


「お医者さんが…?」

「許せないな!」

みんなが驚いたが、特にエルグはすぐにでもレビンの城に乗り込みそうな勢いだ。

「で?どうするんだ?明日にはそいつがノーラさんを連れて行くんだろう?」

「大丈夫だ。まあ見てろ。」

そう答えたセレは何故か楽しそうだった。

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