緑の風と小さな光 第1部
「そろそろ出番だよ。」

係の者がセレ達を呼びに来た。

ピアリとルルグもちょうど戻って来た。

「さて行こうか。」

楽団席に着き、セレはヒターラのトーンをピアリの声に合わせた。

「こんなもんだろう…始めるよ。」

ヒターラが始まった。滾々《こんこん》と泉が湧き出る様な音色に人々が振り返る。

ルルグの笛も哀愁のあるいい音を奏でていた。

そして、ピアリの歌。

「…風が曲がれば…運命の変わり目…

…追い続けても…永遠に巡る…

…それでも心は…」

広場がいったん静まり返り、その後はざわついた。

「誰?」

「何て良い声なんだ…」

「夢のよう…」

優しく可愛らしい声なのに、力強さもありよく響く。何よりもあふれる情感…

人々の心をあっという間に魅了する。まるで「歌の魔法」だ。

曲はセレ達の国のもので

「何があっても、私はあなたの味方です」

という意味の詩だ。

元々は戦地に赴く人々への歌だが、ピアリはアレンジを加えた。

『永遠の味方が此処にいる事を…何処に行っても…親愛なる同士よ…』

の原詩を

『永遠の味方が此処にいる事を…何処に行っても…元気な姫君よ…』

と歌った。
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