緑の風と小さな光 第1部
収穫祭は終わった。

セレ達は出発しなくてはならなかった。

だが、ローエンとの約束の1ヶ月が経った。

ピアリが旅を続けるかどうかを決めなければならない。

「私は大丈夫よ。このまま旅を続けたい。お母さんに会うのも諦められないわ。

ねぇ、いいでしょうセレ?帰れなんて言わないよね?」

「……」

無理だとは思わない。ピアリはセレが思っていたよりずっとタフだ。

だが心配なのだ。セレは迷っていた。

たかだか1ヶ月で随分と色々な事があった。これからもっと大変になるだろう。

本格的にフィズを狙って来る奴等もきっと現れる。

「お願い!私は今がとても楽しいの!」

「セレ、僕ももっとピアリと一緒にいたい。」

ルルグはピアリが大好きだ。

「…エルグ。ちょっと話したい事がある。いいかな。」

「ああ。」

セレはエルグと庭に出た。

この旅が始まった理由を話した。


自分が王家の出身で、死者とされている事…
フィズが造られた理由とその力の恐ろしさ…
それを宿す事になった経緯…
ピアリと一緒に旅をする事になった理由…

などなど、話さなくてもいい事まで話した。

セレは今ではエルグを心から信頼していた。
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