緑の風と小さな光 第1部
この国「ロストーク」では第一王子が後継者となる決まりだった。
血族での王位継承の争いを避ける為の絶対的な掟だ。
弟を王位継承者にするには、セレの存在を隠さなくてはならない。
そういう訳で、本来なら誕生の時に盛大に祝われるべきなのだが『死産』という事にされている。
公にはセレは存在しないのだ。
だが、セレは決して疎《うと》んじられていた訳では無い。
セレの訃報を聞いた国王、王妃、そして弟王子の悲しみや落胆は気の毒な程だった。
セレは愛されていた。
…それなのに、きちんと弔《とむら》う事すらできない…
国王達の無念はどれ程のものだろう…
葬儀は密やかなものだった。
死者を心から悼む者だけの参列。
…むしろ葬儀はこうあるべきかもしれない…
セレは王太子としての正装をされていた。
とても良く似合っていて、それが悲しみを更に増した。
棺は離宮の庭園の隅にひっそりと埋葬された。
セレの弟、ヤールシュレイテは棺の蓋が閉じられるまで、セレの手を握って離さなかった。
血族での王位継承の争いを避ける為の絶対的な掟だ。
弟を王位継承者にするには、セレの存在を隠さなくてはならない。
そういう訳で、本来なら誕生の時に盛大に祝われるべきなのだが『死産』という事にされている。
公にはセレは存在しないのだ。
だが、セレは決して疎《うと》んじられていた訳では無い。
セレの訃報を聞いた国王、王妃、そして弟王子の悲しみや落胆は気の毒な程だった。
セレは愛されていた。
…それなのに、きちんと弔《とむら》う事すらできない…
国王達の無念はどれ程のものだろう…
葬儀は密やかなものだった。
死者を心から悼む者だけの参列。
…むしろ葬儀はこうあるべきかもしれない…
セレは王太子としての正装をされていた。
とても良く似合っていて、それが悲しみを更に増した。
棺は離宮の庭園の隅にひっそりと埋葬された。
セレの弟、ヤールシュレイテは棺の蓋が閉じられるまで、セレの手を握って離さなかった。