緑の風と小さな光 第1部
この工場は朝は定時に始まるのだが、夕方はその日にやるべき仕事が終われば上がりになる。

この日は少し早めに仕事が終わった。

セレとエルグは少々の不安を抱えてラドニーの所に行った。

「わざわざすまないね。ちょっと、僕と一緒に来てくれる?」

ラドニーは工場を出て、村の通りを歩いて行った。

小高い丘の上に風車小屋が見えて来た。

ラドニーの父親、ハンの住居だ。

「あれが僕等のケンカの原因だよ。…ところでキミに聞きたい事っていうのはね…ああ、もう気が付いているんだね。」

セレは地面をじっと見ていた。

「この下に何か居ますね。」

「そうなんだ。実は4,5年前にも魔法を使える子がいてね。同じ事を言ってた。…もしかして、ここに居るのは竜では?」

「…わかりません。かなり大きな生き物だとは思いますが。」

「そうか。もし竜だったらキミに捕まえて欲しいんだ。我々のような普通の人間では無理だろうから。」

「捕まえる?何故?」

「そりゃあ、暴れ出したら危険だからさ。」

「…そんな凶暴性は感じませんが。」
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