緑の風と小さな光 第1部
話し声を聞きつけて、ハンが風車小屋から出て来た。

「ラドニー!ここには来るなと言っただろう!」

「すぐに帰るよ。この人が魔法使いだってわかったから、あの竜の事を聞いてみたんだ。」

「この人?…君か。昨日はすまなかったね。傷はもう大丈夫なのかい?」

ハンはセレの事を覚えていた。

「ええ。ここはいい風が吹いていますね。」

「そう。季節ごとにそれぞれいい風が吹く。俺はここの風が大好きなんだ。ここで、この風と、この風車と一緒にずっと生きて来たんだ。」

大切な想いが詰まった場所なのだろう。手放す気なんて無さそうだ。

ラドニーの方があきらめない限り、2人の和解は難しいと思われた。
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