緑の風と小さな光 第1部
ジンの持っている灯りで、木の枝だと思っていた物は木の根だったとわかった。

その根の向こうは空洞だということもわかった。だが、それが何なのか…

「さっぱりわからないな。…中に何か居るのか?」

「今から入る所だよ。」

「入る?」

「ここは僕の寝床だよ。」

「は…?」

ジンは木の根を掻き分けて、中の空間に入った。

途端に大きな生き物に変わった。

竜だ…

「これが僕の本当の姿だよ。あんたも人間じゃないよね?何?…その感じだと熊かな?」

「ああ…うん。その通りだけど…」

本当に竜だったとは…。

「人間の姿でいるのは結構大変なんだよ。だから必要ない時はここで元に戻るんだ。」

「はあ…」

「あんたは信用できると思うから本当の姿を見せたけど、誰にも言わないでよ。あの魔法使いにも。」

エルグの目を見つめて言った。

「…うん。」

「僕は今のままの暮らしがいいんだ。…今日も疲れたなあ。もう休まないと…」

ジンは地面に腹這いになり、組んだ前足の上に顔を乗せて眠ってしまった。
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