緑の風と小さな光 第1部
エルグはセレ達のいる小屋に戻った。

「どうだった?」

セレにきかれても本当の事は言えない。

「住んでる場所はわかったけど、後はまだ…。」

「そうか。」

セレはエルグを責める様な事は言わない。だがエルグは気が重い。

それに肝心な事をジンにきかなかった。

火事の事だ。

ジンがやったのか、やってないのか?もしやったのなら何故なのか?

色々と気になって落ち着かなかった。

夜になり寝床に入っても、どうも眠れない。

「…」

誰にも言うな、とジンに口止めされているし、言ったら大変な事になる気もする。

…そうだ。誰も連れて来るな、とは言われてない。明日はルルグを連れて行ってみよう。

セレは無理でも、ルルグなら大丈夫かもしれない。ルルグに危険がおよぶ事も無さそうだ。

そう思うと少し気が楽になって、エルグは眠りについた。


深夜。

村中がひっそりと寝静まっている時間。

もぞもぞとエルグが動き出した。むっくりと起き上がり、セレに近づく。

気配を感じてセレは目を覚ました。

「…どうした?」

エルグはいきなりセレに襲いかかった。

「!」
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