緑の風と小さな光 第1部
「わああっ!」

ジンは声を上げた。

セレ達は穴から出て、ジンの姿をまじまじと見た。

「本当に竜だったんだな。そんなに驚くなんて、大地の魔法を知らないのか?」

「早く降ろせ!だから魔法使いは嫌いなんだ!」

「素直に降ろすわけ無いだろ。何で魔法書が欲しいんだ?」

「…調べたい事がある。」

「なんだ…。悪さに使うのでなければ、いくらでも見せてやろう。」

「本当に?悪い事はしないよ。誓うよ。早く降ろして。」

ほんの3メートル程の高さに浮いているだけなのにジンは怯えていた。

セレはゆっくりとジンを降ろした。

ジンの胸に大きな傷跡があるのが見えた。

「その傷はどうしたんだ?」

「…昔、魔法使いにやられたんだよ。」

ジンが魔法使いを嫌いな筈だ。

「そうだったのか…でも魔法書を見せて欲しいなら普通に言えば良かったのに。」

「…あんたが怖かったから…」

「怖い?俺が?」

そんな事を言われたのは初めてだ。

「セレは無愛想だし、目つきが冷たいからな。」

エルグは口が悪い所がある。

「そうじゃない。身体の中に不思議な光があるから…。」

「見えるのか?」
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