緑の風と小さな光 第1部
「エメラルドみたいな光が、全身を駆け巡っているのが見える。」

フィズの事だ。

セレに宿る魔法石は、身体の中では電流の様になっている。

「熊男の心の中に入った時に、あんたが悪い奴じゃないって事はわかったんだけど、正体不明で不気味だったんだ。」

「不気味だと?それはセレに失礼だ。謝れ。それに俺も“熊男”じゃなくてエルグって名前がある。」

「ごめんなさい。セレ、エルグ。」

ジンは素直だった。

「セレが敵に回ったら絶対にかなわないと思ったから…。ごめんなさい。」

「いいさ。確かに俺も色々と普通ではないしね。」

そう言うセレの手には、いつの間にか魔法書があった。

「…どこから出したの?」

ジンも魔法書の事は知らない。

「持ち主が必要とする時には出て来る物なのさ。

ちなみに君がこれを奪ったとしても何も読めないよ。

持ち主と、持ち主が許可した者にしか、この書の文章は見えない。」

「そうなんだ…。」

「何を調べたいんだ?」

「人間の姿を保てる魔法薬ってあるかな?

僕はこの姿のままでいられるのは、せいぜい半日なんだ。」

セレは魔法書のページをめくった。
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