緑の風と小さな光 第1部
「あるけど…副作用が大きいな。寿命が短くなる。」

「どれくらい?僕は300年以上生きられるから少し位構わないよ。」

「1回使うごとに寿命が100分の1ずつ減っていく。」

「1回で3年は減っちゃうって事だね…それでもいいや。」

「そんなにまでして、この薬を使いたいとはどんな理由なんだ?」

「……」

ジンは口をつぐんでしまった。

話したくないらしい。

「…まあいい。」

悪さには使わない、という言葉は本当だと思えた。

「もう一つ、訊きたいんだが。」

今度はエルグが質問した。

「工場の火事はお前がやったのか?」

「違う。僕じゃない。」

ジンは否定した。

「俺はあの日、火が出た辺りからジンが走って行くのを見たんだ。」

「確かにあそこにいたけど、僕は何もしてない。」

「走ったのは何かあったからじゃないのか?」

エルグはまだ訊きたい様子だったが、セレが遮った。

「…もういいだろう。それより、この薬が欲しいなら材料を揃えないと。」

「うん。どんな物?」

「まずは金粉。ロストークの金貨は純度が高いからそれを削ればいいだろう。次に、月の雫…?何の事だろう?」
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