緑の風と小さな光 第1部
『成分と作り方。 

 竜の血を1頭分… 』


…竜の血を1頭分…?

セレはその後を読む気にはなれなかった。

…もしかしたらラドニーは「竜のルビー」が欲しいのか…?

これがあれば、小麦粉の工場の件だって思い通りになるだろう。

…そのためにジンを捕まえろと…?

ラドニーはそんな人間には見えないが…。考え過ぎだろうか…。

ジンは今までにも、そうやって狙われて来たのだろう。

どんな気持ちで生きて来たのだろう?そして、これからは…?

300年から400年の寿命…。

セレも常人の何倍もの寿命を与えられている。他人事ではない。

ジンには想いを寄せる女性などはいないのだろうか…?

セレはいつしかピアリに目線を移していた。


ジンはセレのそんな様子に気が付いた。

…セレはピアリと話す時の表情が、他の人の時よりも柔らかいな…

「セレ、あのさ…」

ジンはセレに話しかけた。

「ん?」

セレは魔法書を開いたまま答えた。

「セレってさ…」

「何だ?」

「ピアリの事、好きだよね?」

「!」

セレは大切な魔法書を落としそうになった。


…エルグと言いジンと言い、何なんだ…


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