緑の風と小さな光 第1部
「ジン、ちょっと来い!」

セレは魔法書を閉じ、ジンを小屋の外に連れ出した。

ピアリは今の2人のやり取りの意味がわからなかった。

…ジンがセレをからかっているのかな…?

「…? 何…?今のは…?」

とりあえずエルグにきいてみた。

「さ、さあ?何かの冗談だろう。」

エルグはごまかした。

さすがに今ハッキリ言うのはまずいだろう。『からかう』の範囲を超えている。


ルルグは

「僕だってピアリの事は大好きだよ?」

セレがピアリを好きだって言ったって、別に悪い事は無いじゃないか?

と疑問に思った。


「お前は黙っとけ。」

エルグに言われた。

「何で?」

ルルグは不満そうだった。


エルグは、それよりもセレとジンがどんな話しをしているのか、そちらが気になった。


小屋の外ではセレが弁明をしていた。


「あのな、ジン、勘違いするな。

俺はピアリの父親から彼女の事を頼まれているんだ。

この旅の間はピアリの保護者としての責任がある。だから大切にしているだけなんだ。」


これはジンに対して言っているだけではない。自分にも言い聞かせている。
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