緑の風と小さな光 第1部
「僕らには土地を豊かにする力があるんだ。そのお礼って事みたい。

…今ではそんな意味は忘れられちゃって、ただの習慣になってるけどね。」

「…どのくらい昔からここにいるんだ?」

「産まれてからずっとだから、100年位。」

「100年!」

「でも人間で言うと19歳か20歳ってところだよ。」

常識なんて当てにならない、とセレは思った。

…セレは自分自身も常識はずれの存在だという事を忘れている。

「実はね最初にあの風車小屋を建てたのは僕なんだ。腕の良い職人さんに頼んだんだよ。」

「えっ…」

次から次へと驚かされる。

「ここの小麦は本当に美味しいから自分で挽いた粉でパンやクッキーを焼いて食べたかったんだ。

それを教えてくれたのがハンのお父さんだよ。ハンが小さい頃は一緒にクッキーを焼いたりしたんだ。

…でもハンはすぐに大人になってしまった。」

その頃は、風車小屋の床下からジンの寝床につながる通路があった。

「ある時、狩人に見つかっちゃったんだ。」

魔法薬や魔法のアイテムを売買する魔法商と繋がっている狩人だ。

竜の身体からは「竜のルビー」以外にも、色々と魔力のある物が作れる。高値で取引される物ばかりだ。
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