緑の風と小さな光 第1部
「そいつは魔法使いだった。でもセレほど強そうじゃなかったから油断したんだ。」

胸の傷はその時のものだ。

何とか逃げて寝床に戻り、風車小屋からの通路を塞いだ。

そして、あの小さな小屋に移り住み、そちらにつながる新しい通路を作った。

「風車小屋には戻れなくなっちゃった…」

「そうだったのか…。ハンさんとはもう会わないのか?」

「うん…僕があの時の竜だって事はわからないんじゃないかな。姿も名前も今とは違うしね。」

「ハンさんが風車小屋を手放したくない訳だな。」

「…僕がルーチェを好きだって知ったら、ハンはどんな顔をするだろうなぁ。」


話し込んでいる2人の前に男が立ち止まった。

…こいつは魔法使いだ…

セレは瞬間的に感じた。

少し目尻の下がった中年の男だ。眼光が鋭い。

男は威圧的に話しかけて来た。

「おい、お前。魔法使いなんだって?…ん?緑の瞳…。ランディール家の者か?」

「どうしてそんな事を知っている?」

「俺は魔法関係の狩人なんだ。そういう事には詳しいのさ。」

…狩人…!

セレ達は警戒を強めた。

「この辺りに竜がいるって聞いてやって来たんだ。何か知らないか?」
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