緑の風と小さな光 第1部
小屋の中に戻ったセレとジンはエルグ達に、狩人が来た事を話した。

「竜が目当ての様だ。ジンの事がバレたら危険だ。」

「竜ってのはそんなに金になるのか?」

「もちろんだ。竜の身体は貴重な魔法薬や魔法のアイテムになる。」

ジンは不安でいっぱいだった。

「どうしよう…」

「何とかする。心配するな。いつもの寝床には行かない方がいい。」

「僕は夜には竜の姿に戻っちゃうよ。」

「そうだな…何処に隠れるか…?それなりに広い所となると…」

竜の姿のジンは、頭のてっぺんから尻尾の先まで10メートル程ある。

「1番広いのは空だよ。」

そう言ったのはルルグだ。

「空か…空に浮かせるのは逆に目立つな。でも何かの上、ってのはいいかもな。」

「工場の屋根の上はどうだ?」

今度はエルグが言った。

「そうだな。見てくる。」

セレはそう言って外に出かけ、すぐに戻って来た。

「いけそうだ。気配を消せば大丈夫だろう。」

ジンは人間の姿の時はさほどでもないのだが、竜の姿に戻ると「人間でも動物でもない生き物」の気配がはっきりと出てしまう。
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