緑の風と小さな光 第1部
「最初からよ。だってジンは眠っている時は竜の姿なのよ。」

「…昼寝をしてる時も、って事か…」

「そうよ。丘で眠っている竜を最初に見つけた時は、さすがに驚いたわ。」

「じゃあ、ハンも?」

「知ってるわ。でも、もちろん他の人には言ってないわ。お父さんにも。」

「…そう言えばラドニーさんに、もし竜がいたら捕まえてくれ、って頼まれたけど、どうしてだ?」

セレが訊いた。

「多分、ペットにしたいのよ。」

「…え?」

あまりにも意外な答えだった。

ラドニーは、ハンから竜の話を聞かされながら育った。

「だから竜の事が大好きなのよ。

パパの部屋には竜の木彫りやぬいぐるみが今でも置いてあるわ。

パパの夢は竜を飼う事なのよ。」

「そうか…」

ジンは呟いた。


ハンは小さい頃、祖父や両親と一緒に丘の麓に住んでいた。

丘の上でよくジンと遊んだのだった。

遊びに夢中になり、時間を忘れてジンは竜の姿に戻ってしまった事もあった。

少し驚きながらも、ハンはやっぱり友達でいてくれた。

ジンが風車小屋を建ててからも、一緒に小麦を挽き、パンやクッキーを作った。
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