緑の風と小さな光 第1部
竜は何も食べなくても生きて行ける。

全身で自然界のエネルギーを吸収できるからだ。言わば天然のフィズだ。

でも美味しい物はやっぱり好きだし、何かしらの仕事をして、何処かで少しだけ人間と繋がっていたかった。

そして穏やかに暮らせれば、それでいいと思っていた。

しかしハンは人間だ。どんどん成長していった。ジンはそれほど歳を取らない。

…いつしか一緒には遊べなくなっていた…

そんな時に狩人が来たのだ。

ハンと遊ばなくなってからは、ジンは竜の姿で誰かの前に出た事は無かった。

その頃も、ジンが人間の姿でいられるのは半日だけだった。夕暮れには地下の寝床にもぐっていた。

その日に限って、夜、竜の姿のままで外に出た。

そこで狩人に出くわしてしまった…


「時々、狩人が来ていたのは知っていた。

でも、あの時久しぶりにハンに名前を呼ばれたと思ったんだ。

…あの時の僕の名前は…ラドニー…」

「お父さんと同じ!?」

これはルーチェも知らなかった。

ハンは成長して大人になり、結婚して男の子が生まれた。

その子に自分の友達だった竜の名前をつけたのだった。
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