緑の風と小さな光 第1部
ルーチェはジンが竜に戻る瞬間を初めて見た。
でも驚きはしなかった。

「私が知らない振りをしていたのがいけなかったかしら…かえってあなたを苦しめたかしらね。ごめんね。」

「そんな…それは僕に気を使ってくれたからだろ。謝る事なんか…

ちょっと待って。やっぱりこの姿じゃ話しづらいな。」

ジンはもう一度人間の姿になろうとした。

「今はこれで精一杯だ…」

形は何とか人間になったが、鱗がうっすらと残っていた。耳も尖ったままだった。

「もう隠す必要も無いのにどうして無理をするの?」

ルーチェの問にジンは答えた。

「もう一つ大事な話があるんだ。…君にずっと言いたくて言えない事が、もう一つあるんだよ。それは人間の姿で言いたいんだ。もう少し話を聞いて。」

「ええ。」

ルーチェは頷いた。

エルグ達は息を殺して窓から見ていた。

セレも耳を傾けていた。

「ルーチェ。」

ジンはルーチェの手を取った。

「今までも、これからも、大好きだ。ずっと僕と一緒にいて欲しい。できれば一生。」

ストレートな告白だった。

どうなるだろう、とハラハラしながらみんなが見守る。

その時、ラドニーが様子を見に来た。
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