緑の風と小さな光 第1部
「ルーチェ、どう…」

と言いかけた所で、エルグに口を塞がれて抑えられた。

「しっ!静かに!」

エルグはジンとルーチェを指差した。

窓の外の2人を見て、ラドニーは、今、何が起こっているかを悟った。

半分竜の姿のジンに愛の告白を受ける娘、という衝撃的な場面…。

しかし成り行きを見守るしかなかった。


「竜は人間の何倍も長生きなんでしょう?私はあなたと違ってどんどん歳を取っていくわ。
あなたよりもずっと早くお婆さんになって、あなたよりもずっと早く死んでしまう。

…それでもいいの?」

「良くはない…。でも受け容れるよ。君の死も。全て。」

「……」

「何年、一緒にいられるかなんて僕にもわからない。

でも、例えば1年だとしても365日も一緒にいられるんだよ。僕はそれでいいんだ。…君は?」

「私は…」

エルグ達は、固唾を飲んでルーチェの次の言葉を待った。

「いつの間にか、あなたを頼りにしていたわ…。嬉しい事も悩んでいる事も全部あなたに話した。

お父さんとお祖父ちゃんの事も…。

あなたと離れてしまったら、頼りにできる人がいなくなってしまうわ。」

「ルーチェ、じゃあ…」
< 254 / 287 >

この作品をシェア

pagetop