緑の風と小さな光 第1部
「いつもあなたと離れたくない、と思っていたのに私も言えなかったの。…私こそ、お願いします。ずっと一緒に居て。」

「ルーチェ!ありがとう!」

ジンはルーチェをしっかりと抱きしめた。

「…やっぱりこの姿がいいなぁ。これじゃなきゃ君を抱けない。」

エルグとピアリは目に涙を浮かべていた。

ルルグは不思議な気持ちで見ていた。

「何でお兄ちゃん達は泣くんだろう?セレにはわかる?」

「ああ。よくわかる…」

「どうして僕には解らないんだろう?」

「あと4,5年もすれば自然に解るよ。」

「どんな風に?」

「そうだな…春になって草原に一気に花が咲くような感じかな。」

「一気に…」

「そう。世界がガラリと変わる。それまで見えなかったものが見えるようになる。」

「何だか怖いな…」

「怖がる事はない。特別な人に心がときめくのは新鮮な感動だよ。楽しみにしているといい。」

「そうか…うん。」

ルルグは、素直に『その時』を待とうと思った。
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