緑の風と小さな光 第1部
ジンとルーチェは、事の始終をみんなが見ているのに気付いた。

その中にラドニーがいる事にも…。

「お父さん!?」

ラドニーは複雑な表情をしていた。

「ジン、君が本当に竜だったとはね…ルーチェは知っていたのかい?」

「ええ。」

「なんだ…教えてくれれば良かったのに。」

「お父さんは竜をペットにしたい、なんて言ってたから教える訳にはいかないと思ったのよ。」

「ああ、そうか…僕は竜がこんなに人間的な感情を持っているなんて思わなかったんだよ。いやぁ、色々驚いたな…」

「ラドニーさん、僕とルーチェの事、許してもらえますか?」

驚いてばかりのラドニーに、一息つく間も与えずジンは言った。

「ちょっと、ちょっと待って。色々と展開が急すぎてついて行けないよ。

えーっと…まず君とルーチェはどこに住むんだい?

君が竜に戻ったらどれ位大きいの?相当広い部屋が必要?」

「それって…許してくれるって事ですか?」

「ルーチェの幸せそうな顔を見たら反対なんてできないよ。ジンが真面目で優しい子なのはわかってるしね。」

「ありがとう!ラドニーさん!」

「お父さん…」

ルーチェの瞳から涙が溢れた。
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