緑の風と小さな光 第1部
「セレがいつも真っ直ぐにみんなと向き合う姿を見せてくれたから…。

命懸けで僕を護ってくれたから、僕はルーチェに全てを話す決心がついたんだ。」

「命懸け?いや、そんな大変な事はしていない…」

「セレ、鏡を見せてあげましょうか?」

ピアリが睨みつけた。セレの皮膚はかさぶただらけで、ケロイド状になっている所もあった。

ジンは笑った。

「僕もセレみたいになりたいと思ったんだ。」

「やめた方がいいわよ。結構なバカよ。」

ピアリが言った。

「弟にもバカって言われたな…もしかして俺は本当にバカなのか…?」

セレは「バカ」の意味をまともに受け取っている。

「その『バカ』はそんなに悪い意味じゃないよ。でもセレが死んだら悲しむ人が何人もいるって事は忘れない方がいい。」

ジンが言った。

エルグも真剣な顔で言った。

「今回、セレが死んでたら俺は一生後悔したぞ。ルーチェから、セレが重傷だって聞いた時の俺の気持ちがわかるか?」

「……」

セレは何も言えなかった。

いつもみんなを護る事しか考えて来なかった。

でも、それはみんなの為というよりは、セレ自身が周りの誰かを失うのが嫌だったからだ。
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