緑の風と小さな光 第1部
「身体が落ち着くまで、もう少しここでジッとしてるよ。」

ジンが言った。

「ジンはお利口だわ。何処かの誰かと違って。」

ピアリはちらりとセレを見た。

「……」

…まただ…どうしてピアリには格好悪い所しか見せられないんだろう…?

セレはエルグに背負われたまま、小さな溜め息をついた。


ジンの抜け殻は見事だった。

最初は「これもすごいな」と見ていたセレだったが

「ジン、この抜け殻ってもらってもいいかな?」

唐突に言った。

「構わないよ。僕には何の使い道も無いもの。」

ジンはあっさり承諾してくれた。

「ありがとう!」

「…どうするの?」

ピアリが訝しげにきいた。

「いい事を思いついたんだ。」

セレの『いい事』は、大抵ロクな事ではない。

…何かイタズラを思いついたわね…

ピアリの勘は当たっていた。
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