緑の風と小さな光 第1部
その頃、ウォールの元にはガルテンからの返事が届いていた。

『セレシュヤーデ・スィン・カナーン・ハティアス・ランディール

ロストーク国、ランディール王家の第一王子。現国王の兄。

公式には死亡と記録されているが、国の南西部、チェルの森にある王家の離宮で7年前まで暮らしていた。

3大魔法使いの1人であるヴァシュロークに魔法の手ほどきを受けていた。

ランディール一族の中でも最強クラスの魔力を持っていると思われるが、現在の消息は不明。』

「驚いたね…第一王子とは…

何で王位を継承しないんだろうな?その辺が知りたいね。探ってみるか…。

…何にしてもここを出なきゃな。」

ガルテンに脱獄の道具も頼んでおいたのだ。

身体も不自由無く動ける程度に回復していた。

「何を送って来た…?これか。」

ただの発煙筒だった。

「もう少し気の利いた物は無かったのかね…まあいい。」

ウォールはすぐに開封した。

あっという間に牢の中は煙で充満した。

「何だ!?」

牢の見張りが慌てて扉を開けた。

「ハッ!」

見張りに当て身を喰らわせてウォールは牢を抜け出した。

「急がないと、竜を仕留め損ねる。」
< 267 / 287 >

この作品をシェア

pagetop