緑の風と小さな光 第1部
戦闘から5日目。

セレは完全に復活していた。魔法も発動する様になっていた。

ラドニーの工場の屋根で、エルグとジンと一緒に何かを作っていた。

「できた!」

屋根の上から声がした。

「何ができたの?」

ピアリ、ルーチェ、ルルグは下から見上げていた。

セレが屋根からチラリと顔を出して、ニッコリ笑ったが、すぐに顔を引っ込めて何やら呪文を唱えた。

屋根から現れたのは…

「ジン?!」

竜だった。でも何か違う…

「ジンのレプリカだ。良く出来てるだろ?眼の感じを出すのに苦労したんだ。」

ジンの抜け殻に、麦わらやふすま、木くずなどを詰めてほんの少しジンの血を垂らした。

眼は樹脂で造った。

それをセレの魔法で動かしているのだった。

「これをウォールが見つける様な場所に置いておくんだ。…何処がいいかな?」

ウォールは領主の城から真っ直ぐにここに来るだろう。

「城からここまでの道と地形を教えてくれないか?」

ジンとルーチェが大まかな地図を描いて説明してくれた。

林、畑、坂道、川…

「川か。川の両側は高い土手じゃないか?」

河岸段丘になっているかもしれない、とセレは思った。
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