緑の風と小さな光 第1部
『ズン!』
痺れる様な衝撃が来た。
泥人形達がみるみる潰れてゆく。
重力が増したのだ。大地の魔法とは、つまり重力を操る魔法なのだ。
大地の震えは数分続いた。ピアリは目を固く閉じてずっとセレの背中にしがみついていた。
振動が収まると、恐る恐る辺りを見回した。
泥人形は溶けたチョコレートの様になっていた。
相当広い範囲に力が及んでいる。セレの魔法の大きさは驚くべきものだった。
ふと、ピアリは気がついた。
「お父さんは?」
セレの顔を見上げると、表情が凍りついていた。その視線の先に…
「お父さん!?」
ローエンは泥人形と共に大地にめり込んで動かなくなっていた…
「お父さん!」
ピアリは駆け寄った。
「お父さん!お父さん!」
呼んでも揺さぶっても、ローエンは動かなかった。