緑の風と小さな光 第1部
橋の上から見て、竜の尻尾に気がつく位が丁度いい。

レプリカを窪みに運び、橋からの見え具合を確かめながら、位置を調整していく。

しかし、作業がまだ終わらぬ内にセレはウォールの気配を感じた。


「まずい!ウォールが来てる。思ったより早いな。」


すかさず、挨拶代わりの火炎弾が飛んで来た。

セレは「大地の魔法」で弾き飛ばし「風の魔法」で消火した。

「この前よりも火炎弾の処理が上手くなってるな。」

ウォールが現れた。

「貴様のおかげで5日も動けなかったから、少し勉強したんだ。」

「雷撃を受けて5日で元通りになるなんて聞いた事が無いぞ。お前は化け物か!…いや、失礼。王子様だったな。」

「…どこで聞いた?」

「さあね。それよりも、そこに隠そうとしているのは何だ?」

「これは…」

いくら何でも、こんなに早くバレたら何の面白味も無い。

口ごもるセレの様子が、かえって「レプリカ」を「本物」に思わせた。

「その竜を渡せ!」

「嫌だね。」

セレは「突風」で先制攻撃をかけた。ここなら村人や建造物を巻き込む心配は無い。好きなように「風の魔法」を使える。

猛烈な風をウォールに叩きつけた。
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