緑の風と小さな光 第1部
ウォールは「大地の魔法」で踏みとどまったが、身動きが取れない。

それどころか目も開けていられない。

「くそっ!」

…ふと、風が弱まったので顔を上げた。

同時にエルグの拳が腹に入った。

「ぐ…」

ウォールは意識を失い、前のめりに倒れた。



しばらくして、ボソボソと人の話し声がする中でウォールは意識を取り戻した。

「…なかなか起きないわよ。…エルグ、まさか殺しちゃったんじゃないでしょうね?」

「それは無いよ。ピアリ。」

「あ、起きる。静かに!」

…ウォールは目を開けた…

そのウォールの目と鼻の先に、竜の顔があった。

「うわあぁっ!」

思わず火炎弾で攻撃してしまった。瞬く間に竜は燃え上がった。

「?!」

竜がこんなに呆気なく燃えるものなのか…?

半ばパニックになっているウォールの前で

「あーっ!」

「何て事を!」

セレ達が、いかにも『大事な竜を燃やされてしまった』と悔しがる言い方をした。

「…??」

…俺が竜を灰にした…?…全てをパァにした…?!

セレ達の嘆く姿を見て、ウォールは冷や汗が出て来た。

目を見開いたまま、動かなくなった。
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