緑の風と小さな光 第1部
そう言うルーチェの後ろから

「そうだったんだね…。」

と声がした。いつの間にかラドニーが立っていた。

「この風車小屋にそんな思い出があったとは知らなかった。そりゃあ壊したくないよね…。悪かった。」

「俺の方も意固地になっていたさ。もう少し落ちついて話せば良かったのに。」

ハンは少し照れて言った。

「特に質の良い小麦をこの風車小屋で挽いたらどうだろう?」

ラドニーも、風車小屋の事を考えていない訳ではなかった。

「ここで挽いた粉の方が香りがいいのは確かだからね。

誰かへの贈り物とか、特別な日の為に買いたいと思うような、ちょっと高級なお菓子を作ったらいいんじゃないかな?」

「それはいいわ!おじいちゃんとジンなら、きっと素敵なお菓子が作れるわ!」

ルーチェが言った。

「ハンと一緒にやれるなら僕も嬉しいよ」

「ああ。…また一緒にやれるんだな…」

ジンとハンも、すんなりと話しを受け容れた。

「そうと決まれば…」

ラドニーは小麦の仕入れ先や機材の手配を約束した。


…後の話しだが、可愛らしい竜の形のクッキーが、ここの名物として広まる事になる…。
 



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