緑の風と小さな光 第1部
いよいよ結婚式の当日。

伝統的な鮮やかな色彩の衣装で、家族、親類、友人、工場の人達の前に現れたジンとルーチェは輝いていた。

「綺麗ね…いいなあ…」

ピアリはルーチェの花嫁姿にうっとりしていた。

誓いのキスも、永遠の愛の宣言も、胸をときめかせて見入っていた。

「私も誰かとああなりたいな…」

誰かと…

ふと、セレの事が頭に浮かんだ。

セレと…?

一気に妄想が膨らんだ。

…顔が熱くなった…

すぐ隣にいるセレの顔をまともに見られない。


「初めて見たけど、結婚式っていいもんだな。」

セレがピアリの方を向いて言った。

「……」

セレと一瞬目が合って、ピアリは真っ赤になった。

…どうしたんだろう?今までこんな事は無かったのに…

「…ピアリ?顔が赤いな。熱があるのか?」

セレはピアリの額に手を当てようとした。

「熱なんて無いわ!大丈夫よ!」

思わずセレの手をはらってしまった。

「?…元気そうだな…」

…セレは鈍感だった…



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