緑の風と小さな光 第1部
名前は元々決まっていた。

セレシュヤーデ。

「緑の風」という意味だ。

しかし、最後の魔法をセレシュヤーデにかけて間もなくヴァシュロークの命は尽きてしまった。

後の事は、ヴァシュロークの弟子であり、助手でもあったローエンに託された。



「7年」

とヴァシュロークは言っていた。

魔法石を宿らせてから7年でセレシュヤーデの全身の細胞が生まれ変わり、目覚めると。

その7年が経つのだ。

セレシュヤーデが目覚めれば、自動的にヴァシュロークの「神隠し」の魔法が解けて、姿が見えるようになる。

ローエンも少々の魔法は使えるので、彼の目覚めは覚知できる。

だから、わざわざ様子を見に行く必要は無いのだが、ピアリはここの所、彼が眠っている草原に毎日通っていた。





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