緑の風と小さな光 第1部

ピアリは朝日の眩しさで目を覚ました。

森の空気は爽やかだったが頭はぼーっとしていた。

…何で森にいるんだっけ?
…ああ、そうだ…

昨日の事を思い出した。

「お父さん…」

また涙が出て来た。

何でこんな事になったんだろう?
これからどうなるんだろう…

パチパチ、と何かが燃える音がするのに気がついた。ピアリのすぐ脇で串刺しの魚が焚き火にあぶられていた。

煙が不思議な形で渦を巻いていた。

上空に立ち昇らない様に、風で閉じ込めているのだろう。多分セレの魔法だ。

そういえば、セレがいない。

「セレ!」

不安になって呼んでみた。

すると

「目が覚めたのか。気分はどうだ?」

灌木の茂みをかき分けてセレが現れた。

…良かった。近くにいた…。

セレの手に、カップ型に巻いた草の葉があった。水が入っていた。

「近くに川があるんだ。その魚もさっき獲った。」

昨日ピアリが出したパンもあった。いつの間に持ち出したんだろう。

ハーブやベリーもあった。これも今採って来たのだろう。
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