緑の風と小さな光 第1部
10分以上は経っただろうか。キュウッと音がした。

「……」

ピアリがバツの悪そうな顔をした。お腹の音だった。

「べ、別にお腹なんて空いてないわ。」

ふっ、とセレの顔がほころんだ。

「今はお互いに生き延びる事を考えよう。まずは食べよう。」

「…うん。」

水を一口飲んで、パンをほんの少し口に入れた。

美味しかった。

魚も食べてみた。

白身が美味しかった。ハーブが良く合っていた。

どんどん進んで、あっという間に最後のベリーになった。

…何ていうベリーなんだろう?

甘さも酸っぱさも丁度良く、ピアリの大好きな味だった。

またたく間に食べ尽くしてしまった。

そんなピアリを見てセレは微笑んだ。

ピアリはその笑顔にドキッとして目をそらした。

もう一度、彼を見た。

正面からちゃんと顔を見るのは、これが初めてだった。

端正な顔立ちだ。

特に、緑の瞳は宇宙を閉じ込めたエメラルドみたいで美しい。

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