緑の風と小さな光 第1部
あっと言う間に最後のベリーになった。

甘さも酸っぱさもピアリ好みのいい感じだった。

何ていうベリーなんだろう?

またたく間に食べ尽くしてしまった。

そんなピアリを見て、セレは微笑んだ。

ピアリはちょっとドキッとして、目をそらした。

もう一度彼を見た。

近くでちゃんと顔を見るのは、これが初めてだった。

端正な顔立ちだった。

年頃の女性なら、誰でも一瞬息が止まる様な…

でも、この時のピアリには、まだそこまでの感情は無かった。

「あなたも食べたら?」

「うん、食べてるよ。」

ピアリよりも随分少ない量だった。

ちょっと悪かったかな、とピアリは思ったが、何と言ったらいいのかわからなかったので黙っていた。 
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