緑の風と小さな光 第1部
シエナは淡々と話を続けた。

「ピアリをいたわれなくてもあなたを失格にしました。傷付いて取り乱している彼女を思いやれない様な人間にもフィズは託せない。

…ここを見つけられなくても失格。魔法使いとしての感知能力が低いという事ですから。」

そう言ってシエナは目を伏せた。

「本当に良かったわ…無事に来てくださって…もし失格となったらあなたを始末しなければならなかった。」

フィズの力は悪用されれば最凶の兵器となる。

セレが信頼できる人間でなければ、その力に目覚める前にフィズを取り上げなければならない。

それは「死」を意味する。

そうなれば、フィズを託せる者を改めて見つけなければならなかった。

そんな事にならなくて済んで良かった…とシエナとローエンは安堵したのだった。

「ピアリ、本当に済まなかった。辛い思いをさせたね。」

ローエンは改めてピアリに謝った。

シエナも

「疲れたわよね。少し休んで。」

と、ピアリの頬に手を当てた。

途端にピアリは意識を失い、膝から崩れ落ちた。

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