緑の風と小さな光 第1部
セレが抱き止めた。

「何をした!?」

「今からセレ様お一人で考えて頂きたい事があるのです。彼女には少しの間眠っていてもらいます。」

「…」

セレは黙ってベッドにピアリを横たえた。

彼が死を迎えた筈の、あのベッドだった。ここはセレの寝室だ。あの日のままになっていた。

「まずはこれを。」

シエナは厚みのある封筒を差し出した。

受け取ってみるとずっしりと重い。裏にはヴァシュロークのサインがあった。


「ゆっくり落ち着いて読んで下さい。その上であなたが決めなくてはならない事があります。

…よくお考えになって。

私達は隣の部屋で待っています。答えが決まったらおいで下さい。」

シエナとローエンは寝室を出て行った。

足音が数歩。

ドアが開き、閉まる音。

その後は耳に沁みる様な静寂…



セレは椅子に腰を下ろした。

一息ついて、丁寧に封筒を開けた。


  「親愛なるセレへ」


と手紙は始まっていた。






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