緑の風と小さな光 第1部
…だから宿題が多かったのか…
「それに、みんなと仲が良かった。
弟のヤールや使用人、誰とでも。
君の弟は、父君や母君に怒られると、いつも離宮に逃げて来て君に庇《かば》ってもらっていたね。
そういえばヤールを迎えに侍従が来た時、君達がいたずらをしたのを覚えているかい?」
…さて、何をやったっけ?
「君とヤールは少し魔法を使える様になっていた。
ヤールが帰りたくない、と駄々をこねたからだけど、迎えの者を館に入れない様に竜巻を起こしたんだ。」
ああ、あの事か…
「まだ1人では小さな竜巻しか起こせなかったから2人で力を合わせたんだ。
ところが2人の波長が合いすぎた。
共振と言う奴だ。相乗効果で竜巻が大きくなり過ぎた。
庭の植木はことごとく薙ぎ倒され、ユリもバラも睡蓮も全て無くなってしまった。
池の水も空っぽ。魚はあの後、空から降ってきたよ。」
…今思い出しても冷や汗が出る…