緑の風と小さな光 第1部
彼はゆっくりと振り向いた。

深く透明な緑色の瞳。

綺麗だなあ、とピアリは思った。

突然、その瞳から涙が一筋、頬を流れ落ちた。

ピアリは驚いた。

「どうしたの?哀しいの?」

「いや…何でもない。」

右手の親指でスッと涙を拭った。

「どうして俺の名を知っている?君は?」

穏やかな声だった。本当に何でもないみたいだ。

ピアリは、それ以上涙の理由を尋ねなかった。

「私はピアリ。ヴァシュローク様から聞いていたの。私の父はヴァシュローク様の弟子だったのよ。」

「ヴァッシュ様の弟子? では魔法使いなのか?それにここは何処なんだ?」

質問ばかりだった。

「父は…魔法医と言った方がいいわね。詳しい事は父から話してもらうわ。ヴァシュローク様から頼まれている事もあるし…とにかく家に来て。」


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