緑の風と小さな光 第1部
…君なら大丈夫…?

セレにはそんな自信は無かった。


「但し、フィズを狙う者が現れる可能性は高い。

君の身体からフィズを取り出す方法を考えつく者がいるかもしれない。

フィズごと君の身体を乗っ取ろうとする奴がいるかもしれない。

あるいは、何か耐え難い事が起きて君自身が暴走するかもしれない。

何が起こるかはわからない。

非常事態が起きた時の切り札は用意してあるが、今の時点でそれを君に明かす事はできない。《その時》が来ればわかる様になっている。

…そんな時が来ない事を祈るばかりだが…

私の生命エネルギーも少しだけ、ある場所に残留させてある。君が本当に助けが欲しいと思った時に、呼んでくれれば一度だけ君と会える。

どうだい? アフターサービスは万全だろう?」


…できる事なら『今』話したい、とセレは思った。



手紙は続いていた。


「しかし、君がどうしても400年以上も人生を送るのは無理だと思うなら《冬眠》という手もある。

何もせず、誰とも触れ合わず、430年間眠り続けるのだ。

もしそちらを選ぶのならシエナにそう告げてくれ。彼女にはそれができる。




 
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