緑の風と小さな光 第1部
だが、私としては君に普通に人生を歩んで欲しい。

泣いたり笑ったり、怒ったりしながら…

色々な人に出会い、たくさんの経験をして、あらゆる事を吸収して成長して欲しい。

素敵な女性と恋に落ちるのもいいと思う。

君の寿命は長過ぎるから一生を共に過ごすのは、かなりの覚悟がいるだろうけれど…

その寿命のせいで悲しい想いもするかもしれない。

シエナが君に心を与えるな、と言ったのはその辛さを思いやっての事だ。

でも心が無ければ、苦しみや悲しみを感じないだけでなく、嬉しさも楽しさも…幸せも感じられないという事だ。


…何よりも『幸せ』…


私は、君に幸せになって欲しいのだ。」


「……」


セレは胸が熱くなった。


「君を単なるフィズの容れ物だとは決して思っていない。

だから、君の心をそのままに…元々の君を最大限に生かした。

それが君を幸福にするか不幸にするかはわからないが…



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