緑の風と小さな光 第1部
「お食事?嬉しい!」

ピアリは涙を拭いた。心の切り換えが驚くほど早い。

セレが食堂へ案内した。



「大したものではないけれど」

とシエナは言うが、ちゃんとした朝食がテーブルに並んでいた。

 鶏肉の燻製
 レタスと玉ねぎがメインのサラダ
 人参のスープ
 ライ麦入りのパン
 果物

「料理するのは好きなのだけど、食べてくれる人がいないから普段はあまりやらないわ。」

グラスに冷茶を注ぎながらシエナが言った。

「もったいない!もっと早く知っていれば家に来てもらったのに!ねぇお父さん。」

「有り難いけど、そういう訳には…」

「さあ、召し上がって。」

シエナが食事を促した。

ピアリの機嫌はすっかり良くなっていた。

「いただきます!」

「さあ、セレ様も。ローエンもどうぞ。」

勧められてセレ達も食べ始めた。

全てが上品で優しい口当たりに仕上がっていた。いい加減な腕ではない。

「とっても美味しいわ!」

満面の笑顔でピアリが言った。

「ありがとう。そう言って頂けると嬉しいわ。」

シエナが微笑んだ。昨日とは打って変わって優しい表情だ。



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