緑の風と小さな光 第1部
それぞれが口々に「美味しい」と言った。
ただ、セレは
「この味、何処かで…」
と、呟《つぶや》いた。
「良くおわかりですね。王宮であなたに料理をお出しした事があります。」
シエナが言った。
セレは物心がつく前からこの離宮で暮らしていたが、何度か人目を忍んで王宮に行った事がある。
「誕生日だ。」
5才と18才の誕生日は、この国では特別な祝いなのだ。その時の内輪の晩餐会だ。
「ええ。あの時も同じ様なスープをお出ししたと思います。」
「魔法も使えてお料理も上手なんて素敵!」
ピアリはシエナに尊敬の眼差しを向けた。
「シエナはヤールの先生だった事もあったかな?」
セレは少しずつ思い出した。
「そうです。最初はヤール様の魔法の教師として王宮に入りました。」
…そうだ…彼女がヴァシュロークと一緒に居るのを見た事がある。
その頃はヴァシュロークも王宮によく居た。
「ヴァシュロークが『王宮の料理はあまり美味くない』と言うものだから。」
シエナの料理の腕はヴァシュロークのお墨付きだったので、時々、手伝いという形で厨房に入った。
ただ、セレは
「この味、何処かで…」
と、呟《つぶや》いた。
「良くおわかりですね。王宮であなたに料理をお出しした事があります。」
シエナが言った。
セレは物心がつく前からこの離宮で暮らしていたが、何度か人目を忍んで王宮に行った事がある。
「誕生日だ。」
5才と18才の誕生日は、この国では特別な祝いなのだ。その時の内輪の晩餐会だ。
「ええ。あの時も同じ様なスープをお出ししたと思います。」
「魔法も使えてお料理も上手なんて素敵!」
ピアリはシエナに尊敬の眼差しを向けた。
「シエナはヤールの先生だった事もあったかな?」
セレは少しずつ思い出した。
「そうです。最初はヤール様の魔法の教師として王宮に入りました。」
…そうだ…彼女がヴァシュロークと一緒に居るのを見た事がある。
その頃はヴァシュロークも王宮によく居た。
「ヴァシュロークが『王宮の料理はあまり美味くない』と言うものだから。」
シエナの料理の腕はヴァシュロークのお墨付きだったので、時々、手伝いという形で厨房に入った。