緑の風と小さな光 第1部

旅立ち

「セレ様はどの様に生きて行くおつもりですか?」

涙が収まってからシエナが言った。

「…旅に出ようと思う。」

「わかりました。そうですね。それが良いと思います。」

シエナは静かに頷いた。

セレはピアリを振り返った。

「ピアリ、今話した通りだ。旅に出ようと思う。俺はこの国に居てはいけない存在だから。…今日の内に出発するつもりだ。」

『旅』という言葉に一瞬でピアリは心を奪われた。

…その後のセレの話は聞こえていない。

「君には随分と励まされた。ありがとう。お別れだ。」

セレは少しだけ胸に苦しさを感じた。

『ピアリと離れたくない』と心の何処かで思っていた。

…でも今ならまだ…


しかし、そんなセレの想いはどこへやら…

ピアリは全く違う事を考えていた。

大きな瞳をキラキラさせて、セレを見つめた。

「…?」

セレもさすがに違和感を感じた。

…この輝く瞳の意味は何だ?


「セレ、あの、私…」

「ん?」

「私も行きたい!」


「えっ!?」

セレとローエンの声が重なった。
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