緑の風と小さな光 第1部
「イズムルトという国を知っているかい?」

「いいえ、知らないわ。」

「地図だと西の方だな。」

セレが答えた。

「そう。ずっと西に行った所だ。歩いたら半年位かかるだろうな。その国のピエビッツという湖にいるらしい。」

1年だろうが10年だろうが、ピアリには関係なかった。とにかく行きたかった。

「ピアリ。」

セレが声をかけた。

「旅というのはかなり大変だと思う。

野宿がほとんどだろうし、病気になったって医者にかかれるとは限らない。

君は女の子だし、身体の面からもきついだろう。」

「それに」

ローエンが付け加えた。

「フィズを狙って来る奴もいるだろう。危険だよ。

いくら秘密にしていても知られるものだ。

ヴァシュローク様の周りを何かと探っている者もいた。」
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