緑の風と小さな光 第1部
第二章 再会

セレ達は夕暮れまでには森を抜けた。

しばらく歩くとまばらに民家がある田舎道に出た。

「この辺で泊めてもらえなかったら野宿になるな。」

「うん。それでも大丈夫よ。」

「とりあえず、何処かに声をかけてみよう。」

近くの農家の戸を叩いてみた。

「こんばんは。」

出て来たのは頑固そうな老人だった。

「もう日が暮れるというのに何だね?」

「旅の者です。できればそこの小屋に一晩だけ泊めていただきたいのですが。」

セレは庭の片隅の農具置場らしい小屋に目をやった。

「旅?どっちから来たんだ?」

「森を抜けて来ました。」

「森を?」

老人の顔が訝《いぶか》しげになった。

「わざわざ森を抜けて来るなんて何か
訳ありだな?」

「はい。」

今度はふっと老人の顔が緩んだ。

「あっさり認めるか…。悪い奴じゃなさそうだ。いいだろう。小屋じゃなくてこっちに来なさい。」

老人は自宅に入れてくれた。
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