緑の風と小さな光 第1部
セレも呪文を唱えた。

瓦が粉々に砕け散った。

こいつには容赦しなくていい、とタリヤは思った。

小さな竜巻を幾つも作り出した。

真空の渦だ。

何千本ものナイフが渦を巻いている様なものだ。

その渦を自在に操り、あらゆる角度から次々とセレにぶつけて来る。

「行けっ!」

しかも、その合間に大地の魔法でセレを地面に叩き落とそうとする。

地上からは20メートル程の高さだ。落とされたら無事では済まない。

タリヤの竜巻を消したり避けたりしながら、大地の魔法も使わなければならない。

タリヤの方が戦闘経験も魔法の技術も遥かに上だ。

セレは本格的な魔法戦は初めてだ。少しずつコツは掴めているが、段々と追い詰められて来た。

「!」

ついに真空の渦がかすった。セレの右の二の腕がザックリと切れた。

一瞬、ひるむ。

それを見てタリヤは竜巻の動きを思い切り速めた。

「勝負あったな。」
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