緑の風と小さな光 第1部
並んだら、一目で兄弟だと判ってしまう。
ヤールシュレイテ陛下に兄弟などいる筈は無いのに…
窓の外、すぐ近くに王の身を案じて先程のタリヤがいるのはわかっている。腹心の部下だ。
他にも何処で誰が見ているか分からないのに、ここで正体を暴露するとは不用心もいいところだ。
二人とも笑顔になった。
「兄様はあの時のままですね。」
「死人は年を取らないからね。22才のままさ。今では私の方が年下だ。」
ただ、ヤールは実年齢よりも下に見える。目が大きいせいか、やや童顔なのだ。
威厳を持たせようとヒゲを生やしている。
「お前、ヒゲが似合わないなあ。」
セレがしみじみ言った。
「…言わないで下さい。自分でもそう思うのですが、こうでもしないと『可愛い』と言われてしまうのです。」
セレは声を出して笑ってしまった。
「いいじゃないか。可愛らしい国王がいたって。」
「兄様はいいですよ。年齢よりも老けて見えるから。」
「言葉を選べ。ヤール。」
昔のまま、仲の良い兄弟だ。
気のおけない会話は続いた。二人の笑い声はドアの外のタリヤにも聞こえていた。
…こんなに楽しそうな陛下は久しぶりだ…
ヤールシュレイテ陛下に兄弟などいる筈は無いのに…
窓の外、すぐ近くに王の身を案じて先程のタリヤがいるのはわかっている。腹心の部下だ。
他にも何処で誰が見ているか分からないのに、ここで正体を暴露するとは不用心もいいところだ。
二人とも笑顔になった。
「兄様はあの時のままですね。」
「死人は年を取らないからね。22才のままさ。今では私の方が年下だ。」
ただ、ヤールは実年齢よりも下に見える。目が大きいせいか、やや童顔なのだ。
威厳を持たせようとヒゲを生やしている。
「お前、ヒゲが似合わないなあ。」
セレがしみじみ言った。
「…言わないで下さい。自分でもそう思うのですが、こうでもしないと『可愛い』と言われてしまうのです。」
セレは声を出して笑ってしまった。
「いいじゃないか。可愛らしい国王がいたって。」
「兄様はいいですよ。年齢よりも老けて見えるから。」
「言葉を選べ。ヤール。」
昔のまま、仲の良い兄弟だ。
気のおけない会話は続いた。二人の笑い声はドアの外のタリヤにも聞こえていた。
…こんなに楽しそうな陛下は久しぶりだ…