異国の王子様
ガシッとあたしの腕をつかむ狼。
「いや、これは呼ばないとあんた死ぬよ!?」
否定したのだと思い説得しようと
大声を出せば、
ゴソゴソと手を動かす狼。
そして何かをあたしの手のひらに押し付けた。
「それの、一番上。
明石晶ってやつに、かけてくれ。」
ぐっと顔を上げ、あたしを見つめる。
その瞳の強さに、
そんな猶予はないのにどきんと
胸が高なった。
「…………わ、かった。明石晶ね!!」
確認して渡された携帯を自分の顔の前に持ってくる。
「わりぃ。」
とかいう声がしたのが先か、
「リキ!?お前今どこいんだ!?」
っていう焦った声が携帯から下のが先か
そんなことは覚えてないけど
がくりと意識を狼が失い、
パニクったあたしは
「やばい、狼が死ぬ!!!!!!!」
なんて叫ぶことしかできなかった。
ほんと無力。