異国の王子様
「じゃあお疲れー!」
「伊藤も気をつけてかえれよー!」
最後の部員が電車から降り、
あんなに沢山いた部員のみんながぜろになった
静かな車両でふぅーといきを吐き
今日一日を振り返る。
車両の窓に映るのは
真っ白な自分の顔。
なぜか焼けないあたしの肌。
甲子園出場を逃し、練習が減ったとは言え
他のマネージャーも部員も真っ黒なのに
真っ白なあたし。
なんだか自分1人取り残されたみたいで
寂しいような…。
………………。
いや、寂しくなんかないな。
部員みんなの笑顔を思い出して
思わず頬が緩んだ。